固定IPを月5,500円→1,078円にした乗り換え手順|サービス比較・客先へのIP追加依頼テンプレ付き

固定IPを月5,500円→1,078円にした乗り換え手順|サービス比較・客先へのIP追加依頼テンプレ付き

結論:固定IPは「人数ぶん契約する」ものではない。1つのIPにライセンスを足す方式なら月1,000円台で足りる

  • ライセンス=同時接続数。ライセンスを足しても出口IPは1つのままなので、客先に許可してもらうIPは何人で使っても1つ
  • 弊社はインターリンクのグループ専用VPN(10アカウント・月5,500円/実利用2名)からロリポップ固定IPアクセス ライト×2ライセンス(月1,078円)へ移行し、年53,064円を削減した
  • 分岐点はおよそ10名。それ未満なら1IP+ライセンス追加型、超えるなら定額のグループ型が有利
  • 本当の律速は契約でなく「いまの固定IPをどこに登録しているか」の棚卸し。登録先が多数なら移行しないほうが正しい
  • 客先への依頼は『切替』ではなく『追加』。旧IPを残したまま新IPを足してもらえば、先方の作業リスクはゼロになり承認が速い

制作会社にとって固定IPは、こだわりでも贅沢品でもなく「クライアントのサーバーに入るための通行証」です。IP制限のかかった本番サーバー、レンタルサーバーの管理画面、SSH、DB——どれも許可リストに載った送信元からしか触れません。ところがこの通行証、契約したきり何年も見直さないまま高い料金を払い続けているケースが本当に多い。弊社もそうでした。この記事では、月5,500円から月1,078円へ(年53,064円の削減)実際に乗り換えたときの判断材料と手順を、料金比較・仕様の読み方・客先へ出した依頼文まで含めてそのまま公開します。

まず「アカウント数」でなく「ライセンス=同時接続数」で読む

固定IPサービスの料金表が比較しづらいのは、各社で数え方の単位が違うからです。実務で意味があるのは次の2つだけです。

  • 出口IPがいくつ払い出されるか:客先の許可リストに載せる値。ここが増えると依頼作業も増える
  • 同時に何台つなげるか:自分と外注が同じ時間帯に作業できるかどうか

いま主流の「1ライセンス=同時接続1台」型は、ライセンスを何本に増やしても出口IPは1つのままです。ここが設計上いちばん重要で、2人で使おうが5人で使おうが、客先に許可してもらうIPアドレスは1つだけで済みます。人が増えるたびにIP許可の依頼メールを出し直す必要はありません。逆に「1契約=1IP=1台」型(後述のインターリンク マイIPなど)は、人数ぶん契約するとIPも人数ぶん増えるため、客先への依頼が人数ぶん発生します。金額以前に、この違いが運用コストを決めます。

料金比較(2026年9月・各社公式ページで実査)

「いまの回線はそのままで、固定IPだけ足す」タイプを横並びにしました。金額より先に見るべき列は「IPの持ち方」です。共有と書いたものは他社の利用者と同じ出口IPを使うため、客先の許可リストに載せる用途では避けてください。同じIPから見ず知らずの通信も出ていくので、先方のセキュリティ担当が通しません。

サービス 月額(税込) 最小構成 IPの持ち方 同時接続・人数 無料期間
ロリポップ!固定IPアクセス ライト 539円/ライセンス 1ライセンス〜 専有 1ライセンス=同時1台 最大2か月
ロリポップ!固定IPアクセス スタンダード 495円/ライセンス 10ライセンス〜 専有 1ライセンス=同時1台 最大2か月
XServer 固定IPアクセス ライト 880円(CP616円) 1ライセンス〜 専有 1ライセンス=同時1台 30日お試し
XServer 固定IPアクセス スタンダード 770円(CP539円) 5ライセンス〜 専有 1ライセンス=同時1台 30日お試し
インターリンク マイIP 1,100円 1IP 専有 1台のみ 2か月
インターリンク マイIP ソフトイーサ版 1,320円 × 固定IP数 1IP 専有 複数台可 2か月
インターリンク グループ専用VPN 5,500円〜/10アカウント 10アカウント 専有(サーバー1台) 10名〜 2か月
Glocal VPN かんたん固定IPアドレス 1,089円/1ユーザー 1ユーザー 共有 1人1端末 初月0円
Glocal VPN せんぞく固定IPアドレス 6,600円/10ユーザー(追加660円) 10ユーザー 専有 10名〜 初月0円・14日
SUIKA VPN 共用固定IP 878〜1,097円(契約期間で変動) 1アカウント 共有 1アカウント 30日返金保証
SUIKA VPN 専属固定IP 21,560円〜(L2TP/PPTP) 20アカウント込み 専有 20名〜(10名4,400円で追加) 30日返金保証
MillenVPN 専用サーバー ソロ 2,310円〜 1アカウント 専有 台数制限なし ―(12か月契約〜)
自前VPS+WireGuard 500円前後 ― 専有 人数無制限 ―

金額は2026年9月に各社の公式ページで確認した値です。キャンペーン価格は終了後に通常価格へ戻るので、比較は必ず通常月額で行ってください。 XServerの30%オフは公式告知で2026年9月30日17:00までとされています。無料期間の条件も各社で違い、ロリポップは初回の固定IPのみ・最大10ライセンスまで、XServerは初回利用者の30日お試し・最大10ライセンスまでです。

人数と用途で選ぶと、選択肢は3つに割れる

① 1〜数名で、客先の許可リストに載せる(ここが制作会社の大半)
ロリポップかXServerの「1IP+ライセンス追加」型が最安です。2ライセンスで並べるとロリポップ1,078円、XServerがキャンペーン中1,232円・通常1,760円。5ライセンス以上ならXServerのスタンダード(キャンペーン539円)が効いてきます。弊社は2ライセンス構成が長期的に最安になるロリポップを採用しました。申込から利用開始まで、実測で5分かかりませんでした。

5名以上で使う予定があるなら、スタンダードの単価が効くXServer側も見ておく価値があります。どちらもWireGuardで仕組みは同じです。

② とにかく今日1本ほしい・1人で使う
インターリンクのマイIP/マイIP ソフトイーサ版が早いです。マイIPは1,100円で1台のみ、複数端末で使うならソフトイーサ版(1,320円×IP数)。老舗で情報も多く、2か月の無料期間があります。ただし人数ぶんIPが増える=客先への依頼も人数ぶん発生するので、増員の予定があるなら①のライセンス追加型のほうが後が楽です。

③ 10名以上、または端末を選ばず全員を同じIPに載せたい
定額のグループ型が有利になります。インターリンクのグループ専用VPNサーバーは10アカウント5,500円〜(弊社が移行前に使っていたのがこれです)。MillenVPN 専用サーバーは1アカウントあたりの同時接続台数に制限がなく、ソロ2,310円〜/エントリー4,400円〜(10アカウント)。スタッフ全員を1つの固定IPに載せて在宅勤務させる前提なら、20アカウント込みのSUIKA VPN Team IP Serviceという選択肢もあります(専属プランは21,560円〜と一気に上がるので、10〜20名規模で初めて釣り合います)。

なお、この3つのどれを選んでもやることは同じです。新しいIPを取る→客先に「追加」を依頼する→疎通確認してから旧契約を解約する。次章以降が、その実作業の記録です。

弊社の移行前後:年53,064円の削減

移行前はインターリンクのグループ専用VPN(10アカウント・月5,500円)を契約していました。実際に使っていたのは自分と外注の2名だけ。つまり枠の8割を使わないまま払い続けていた状態です。

月額 年額
移行前:グループ専用VPN(10アカウント・実利用2名) 5,500円 66,000円
移行後:固定IPアクセス ライト × 2ライセンス 1,078円 12,936円
差引 −4,422円 −53,064円

試算していて分かったのは、損益分岐点がおよそ10名だということです。3名なら年46,596円、5名なら年33,660円、8名で年14,256円の削減に縮み、10名を超えると定額のグループ型のほうが安くなります。外注を含めて常時2〜5名という規模——多くの小規模制作会社がここに入るはずです——なら、見直す価値は十分にあります。

自前VPSを採らなかった理由

月500円前後のVPSにWireGuardを立てれば、人数無制限で最安です。それでも採りませんでした。固定IPは「落ちると制作も納品も止まる」業務基盤だからです。年1万円強の追加削減のために、障害対応・OSアップデート・鍵管理を自社で背負い、構築に2〜3時間使う。いま受注に充てるべき時間の使い方ではありません。コストは商用サービスの価格差で取り、時間は売上に使う——この配分は、サーバー選定全般でも同じ判断をしています(考え方はWeb制作者が選ぶレンタルサーバー比較にまとめています)。

契約前に必ずやる棚卸し(ここが本当の律速)

固定IPを変えると、その古いIPを許可リストに載せている相手すべてに更新依頼が必要になります。自社だけでは完結しません。契約ボタンを押す前に、いまの固定IPをどこに登録しているかを洗い出してください。

  • クライアントの本番サーバー/ステージング環境
  • レンタルサーバーの管理画面のIP制限
  • SSH・SFTP・データベースの接続元制限
  • クライアントの社内システム・業務システム
  • 自社のWordPress管理画面やセキュリティプラグインのホワイトリスト

この結果で判断が変わります。登録先が自社管理のみ(1〜2件)なら即移行して問題なし。クライアント数社の情シス経由が混ざるなら、申請から反映までの日数を見込んで新旧2契約の並行期間を取る。登録先が多数なら、年5万円の削減に対して調整コストが上回るので現行維持が正解です。 「安いほうへ替える」の前に、この棚卸しをやらずに契約すると、依頼メールの往復で何週間も溶かすことになります。

移行の実行順(並行期間のコストを実質ゼロにする)

  1. 新サービスを先に契約して新IPを取得する(旧契約は解約しない)。最低利用期間なしのサービスを選んでおけば、この順序が安全に取れます
  2. 自社で完結する登録先を先に更新して疎通確認。自社のレンタルサーバー管理画面などを先に通せば、客先へ依頼を出す前に「新IPが本当に生きている」ことを検証できます
  3. 客先へ「追加」の依頼を出す(次章のテンプレ)。情シス経由の先から順に。反映に数日〜2週間かかる前提で並べます
  4. 全接続先で新IPの疎通を確認。ここまで旧IPの接続設定は絶対に消さない
  5. 確認が終わってから旧IPの削除を依頼し、旧契約を解約

この順序なら、並行期間に発生する重複コストは新サービスの月額だけです。さらに新規契約の無料期間(ロリポップなら最大2か月)が並行期間を丸ごと覆えば、重複コストは実質ゼロになります。弊社は9月契約で課金開始が11月分からになり、9〜10月の並行期間は0円で済みました。

解約側にも注意点が2つあります。解約は多くの場合「解約予約」=契約終了日での解除で、日割り返金はありません。 また、解約日を過ぎてもクライアント側の接続設定が残っていると継続利用とみなして課金される条項を置いているサービスがあります。解約手続きの前に、自分と外注の端末から旧サービスの接続設定を外してください。

客先へのIP追加依頼テンプレ(そのまま使えます)

ここが一番つまずくところです。通す条件はシンプルで、先方の作業リスクをゼロにすること。つまり「切替」ではなく「追加」としてお願いし、旧IPは消さずに残してもらいます。旧IPを先に消されると、こちらの疎通確認が終わる前に接続が切れて作業が止まります。

件名:【ご依頼】接続元IPアドレスの「追加」登録のお願い(既存IPはそのまま/〇〇株式会社)

〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様

いつもお世話になっております。〇〇の〇〇です。
このたび弊社側の回線を変更したため、〇〇(対象サーバー・システム名)への
アクセス許可設定に、下記のIPアドレスを「追加」でご登録いただけますでしょうか。

■ 追加をお願いするIPアドレス(1件)
 xxx.xxx.xxx.xxx

■ お願いの内容(重要)
・現在ご登録いただいている弊社の旧IPアドレスは、削除せず当面そのまま残していただけますでしょうか。
・その上で、上記の新IPを1件「追加」する形でご対応をお願いいたします。
・切り替えではなく追加のため、現在の接続や貴社側の運用に影響が出ることはございません。
 旧IPの削除は、新IPでの接続確認が完了したのち、あらためて弊社よりご連絡いたします。

■ 1点、ご確認をお願いしたい事項
・ご登録の反映までにかかるお日数の目安をお知らせいただけますでしょうか。

■ 弊社側の予定
・〇月〇日(〇)を目安に、新IPからの接続確認を実施いたします
 (反映のご連絡が後になる場合は、ご連絡をいただいた翌営業日に実施いたします)。

お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

この文面で意識している点が3つあります。

  • 件名に「追加」「既存IPはそのまま」を入れる:情シス経由の依頼は転送されるうちに本文を読まれないことがあります。件名だけで要件が伝わる形にしておくと差し戻しが減ります
  • 反映日数を聞く1行を必ず入れる:これが無いと、旧契約をいつ解約できるかの見通しが立ちません。相手を急かさずに期日を引き出せる聞き方です
  • 旧IPの停止期限をこちらから書かない:「旧IPは今月末まで」と先に伝えると、先方が気を利かせて期限前に削除してしまうことがあります。停止のお願いは、全社の疎通確認が終わってから改めて出します

IPアドレスの転記ミスは差し戻し1往復=2〜3日の損失になります。管理画面からコピー&ペーストで転記し、手入力はしないでください。

契約時に踏みやすい落とし穴

  • 「ライセンスを追加」と「IPアドレスを追加」は別物:同じ管理画面に並んでいますが、後者を押すと別のIPが新しく払い出されます。人を増やしたいだけなら押すのは前者。間違えると客先への依頼がもう1往復発生します
  • 減らす導線が用意されていないことがある:ロリポップの公式ガイドには「ライセンスを1本だけ減らす」手順が見当たらず、解約はIP単位かつ解約予約制でした。足すのは即日でも、減らすのは片道の可能性があります。「繁忙期だけ増やす」運用は前提にしないほうが安全です
  • 無料期間は初回IPのみが対象:2本目のIPを後から追加しても無料期間は乗りません。必要なライセンス数は最初の申込フォームで入れておくのが得です
  • 同時接続1台の意味:1つのライセンス設定を複数端末に入れること自体はできますが、つながるのは同時に1台(早い者勝ち)。外注が2名いても稼働がほぼ1名なら1ライセンスを共有して問題ありません
  • 出口IPは契約時に自動割当で変更不可:気に入らないIPが出ても選び直せません。逆に言えば、一度客先に許可してもらえば二度と変わらないということでもあります

VPNサービスで代用できないのか

結論から言うと、用途が違います。一般的な個人向けVPNは「接続のたびに出口サーバーが変わる/同じ国の共有IPになる」のが普通で、許可リストに載せる固定の値が得られません。通信を暗号化して安全にするのがVPN、送信元を1つの値に固定するのが固定IPサービスで、目的が別物です。海外からの作業や公衆Wi-Fiでの暗号化が目的ならVPNサービス側の選び方が参考になりますが、IP制限を通す目的には使えません。なお固定IPサービス側もWireGuardでトンネルを張るので、暗号化は同時に満たされます。

公開前チェックリスト

  • いまの固定IPの登録先を全部書き出した(自社/客先/情シス経由の区別つき)
  • 新サービスの最低利用期間がないことを確認した(先に契約して後から解約する順序が取れるか)
  • 必要なライセンス数を最初の申込で入れた(無料期間を取りこぼしていないか)
  • 客先への依頼は「追加」で出した(「切替」と書いていないか)
  • 旧契約の解約前に全接続先で新IPの疎通を確認した
  • 解約前に自分と外注の端末から旧サービスの接続設定を外した

固定IPの見直しは、売上を増やす施策ではありません。ただ、年5万円の固定費と、契約内容を把握していないという状態を同時に片づけられます。作業は実質1日、効果はそこから毎年続きます。 サーバー周りの固定費をまとめて見直すなら、WordPressサーバー移行の完全ガイドと併せて棚卸しすると一度で終わります。

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